火山噴火の予知と火山性微動などリアルタイムで監視する気象庁
ここでは火山噴火の現在の予知技術と気象庁、正確な予知が成功している有珠山ついて話します。
この記事は「池上彰と考える巨大地震Ⅲ」のテレビ番組を元に作成された内容になります。
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気象庁内には火山を担当するエリアと地震を担当するエリアがあり、火山エリアでは火山をリアルタイムにサーモグラフィーなどを使って監視しています。
日本の火山は、札幌管区気象台、仙台管区気象台、福岡管区気象台と気象庁本庁の情報センターで火山を監視して、火山が噴火した際には携帯のエリアメールなどで速報を流すことを決め今年(2015年)の夏までに導入を予定しています。
地震エリアではその日起こった地震を自動で検地して監視していますが、一日に起きるマグニチュード1以上の地震は約500回/日です。それを全国約1400か所に設置している地震計でとらえています。
モニターの前では全国で発生した地震をチェックして地震速報として発信しています。
気象庁の西出 則武長官によりますと、
噴火したことを知った上で地震活動をみると確かにこれは前兆だったと言えますが、噴火を知らない段階で過去との比較をしていくと、それ以前に非常に小規模な噴火がありましたが、そのときの地震活動や微動と比べて火山性微動もほとんどおこらない地殻変動もほぼないということから、
その時点で地震活動をとらえて噴火の前兆であり、警戒レベルを上げれなかったのはやむ得なく、あの被害で警戒レベルを上げていれば犠牲者をゼロにできたと言うことを考えれば非常に残念だという。
マグニチュード9という非常に超巨大地震がおこったことによって地下の力のバランスが前と違うのは事実で地震活動と火山活動、両方を注意深く見ていく必要があるとしている。
予知に関してはまだまだの部分がありコミュニケーションとっていくのが大事としているようです。
と火山の予知はとても難しいのですけれども、火山噴火の予知に成功し人的被害がゼロだった事例があります。
2000年の有珠山の噴火です。
噴火の2日前に有珠山の噴火する可能性が高いと発表して、これにより周辺の住民約1万6千人が非難することができました。
そこで前線に立ち活躍したのが火山学者が北海道大学の岡田 弘名誉教授です。
いつ、どこで、何が、どのくらいの規模で、どういう風に、と5つの要素を厳密に知ると言うのは無理ですが、しかしながら出来る事として、火山が発症している症状を診断しておかしい、何か対策をして直撃を受けないようにしたいと言うことはできるといいます。
有珠山噴火を予知できた理由についての大きな3つの要素があります。
一つ目は、過去の噴火の記録、
有珠山の噴火は過去の噴火で詳細な記録がのこされており、噴火の前に起きるさまざまな観測データが蓄積されています。
専門家では有珠山は嘘をつかない山と言われていて1910年の噴火と非常に似ています。
噴火の30時間前からの地震の数があきらかに上昇しこのような過去の噴火前兆データから危険を察知していたという。
2つ目に、火山のホームドクターがいたこと、
5人の職員で24時間貼りつけて常時見守っていた。岡田教授は有珠山を常に観測するためにふもとにマンションを借り21年間有珠山を見続けていたという。
3つ目は、自治体と住民の連携です、噴火が予知できたときに周囲の人が信じてくれなければならなく、岡田教授は常日頃から行政や住民に何をすべきかを伝えてきていました。
実際に避難指示をだした山中町長も岡田教授には絶大な信頼をおいています。岡田教授のようにフィールドで研究をしている火山の専門家が分かりやすく行政が今何をすべきか、住民は何をすべきかを分かりやすく解説してくれたといいます。
前兆には下から突き上げるようなドスンとした感覚のゆれがあったようで、おかしいと感じた住民が「とにかく岡田先生のところへ電話すればよいんじゃないか」と連絡をったようです。
連携についてそのくらいの事とも思えるかもしれませんが、1977年8月の有珠山噴火の時には今もう間違いなく噴火するだろうとなったときでも地元では噴火の前日花火大会をしていたと、噴火の情報はつかんでいたけど住民に伝えきれなかった苦い経験があります。